20120316完四郎広目手控.jpg「炎立つ」「火怨」「天を衝く」の高橋克彦の「完四郎広目手控シリーズ」の「不惑剣」。ホラー、ミステリー、時代小説など高橋作品は幅広いが、今回のは明治初期の広目(今でいえば広報・広告・メディア)の世界に身を置く完四郎たちから描いた小説。
 
明治維新後の変革期、不安定な時代。新政府に抵抗し、死に場所を求める元士族――。熊本で決起する神風達を止めようとした完四郎は逆に心をひかれ、己を省みる。

「こういう美しき者たちを・・・・・新政府はなぜに死に追いやる」
「こういう者たちが喜んで生きて行かれる国こそ本当の新しき国ではないのか」
「おれよりも偉い。・・・・・・惑わぬ心で剣を持つのは・・・・・・」
「戦が何を生む。・・・・・・大久保はまだ足りぬというのか! 西郷は不足だと言うのか! この国の大義はどこにある!」

――掴み所のない国に向けての怒り、そして底の抜け崩落感のなかにある自分自身の生に対して、「おれは・・・・・・どうすればいい」やり場のない時代が描かれている。しかし戦いはまだ続き、明治は走り出している。そんな時代のはらむ苦悩がにじみ出ている。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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