3・11からこの書は始まる。"人の命の重み"――それは数字で語ることができない。
「語るより先に感じることだ。そのためには現場主義を貫かねばならない。現場が全てを教えてくれる。その原点に常にたち帰ることだ」
「この職にある限り、現場にこだわり続けたい」
――そう大越さんは言う。その通りだと思う。
そして「放送という巨大な媒体の怖さを正しく認識し、抑制的にニュースの見方を示すことだ」と自らに言い聞かせている。だからこそ、人々は大越さんの発言を安心して聞けるのだと思う。声もいい。それに六大学野球、東大で8勝したという伝説的スポーツマンということも好感度を増す。
後半はコラム「現代を見る」が載っている。どのコラムも最初の2~3行がいい。人柄や情が出ている。いきなり大越さんが出ている。書くことと話すことは違う。ニュースキャスターをやって磨きがかかったのか、もともとか。