
歴史はそれほど二者にくっきりと分けてつくられるものではないことは、先頃の鳩山政権を見ても明らかだが、あえてはっきりと両者を分けて分析しているがゆえにわかりやすいし、回顧録等を駆使して、新たな視点で切り込んで分析しているがゆえに刺激的になっている。
日米安保条約がどこで誰によって調印されたか、行政協定の意味が重いのはなぜか、安保闘争とは何であったか、米軍基地はいかなる論議のなかで存続しているのか――孫崎史観は、本書ではとくに「60年安保」までを抉っている。1990年以降はむしろ「日米同盟の正体」に詳しい。