
生きづらさを感じている人が多い。会社や学校にも行きづらい。しかし一方で、生と死も希薄になってしまっているのが今の社会でもある。自分自身、いろいろ経験してきたように思うが、「すぐ興味をもつ」「平気でだまされる」「無一物の人に弱い」「人に優しい」「敗者に魅せられる」――そんな末井さんの世界にふれてみると、人生の半分位しか見ていないと思えてくる。
「自殺していく人がいとおしく可哀想でなりません」「自殺する人は真面目で優しい人です。真面目だから考え込んでしまって、深い悩みにはまり込んでしまうのです。感性が鋭くて、それゆえに生きづらい人です。生きづらいから世の中から身を引くという謙虚な人です。そういう人が少なくなっていくと、厚かましい人ばかりが残ってしまいます」「生きづらさを感じている人こそ死なないで欲しい。社会に必要な人です」――。そして「みんな死なないでくださいね。生きてて良かったということはいっぱいあるんだから」と結んでいる。
「孤独と自殺」「いじめと自殺」「世間サマ(良き人であることを期待する)と自殺」「(両親が自殺し)残された者の話」「抗議の自殺と自死」「二人のホームレス」「青木ヶ原樹海に行く」「うつと自殺」「人に良く思われたい。過剰に。そして絶望して自殺未遂」「自分を捨てて他者のことを真剣に考える愛。相手の中に自分自身を見ること」――。率直なだけにより心に迫ってくる。