
福島原発事故民間事故調をプロデュースした船橋さんが、福島原発事故のギリギリの局面での究極の決断、リーダーシップと現場――そうした日本の危機の本質を徹底的に追跡した迫力ある書だ。
「危機のリーダーシップとは」と副題にあり、半藤一利氏と「日本型リーダーはなぜ敗れるのか」をめぐっての対談がある。「最悪のシナリオをつくらない日本人」「いま起きたら困ることは、起きないのではないかというふうに思い、やがて起きないに決まっている、いや絶対に起きない、という思考回路になった。最悪のシナリオをつくらない日本人だ」「"参謀が大事"という日本型リーダーシップ」「防災とともに、一刻も早く外交、安保、危機管理・・・・・・平時から十分な対応策を立てなくてはならない。危機管理の復元力だ」――。
この原発事故の「危機のリーダーシップ」について、チャールズ・カストー米NRC(原子力規制委員会)日本サイト支援部長、福島第二原発を守った増田尚宏東電福島第二原発所長(情の吉田、理の増田)、折木良一自衛隊統合幕僚長、野中郁次郎一橋大名誉教授と対談している。「危機管理とは何か」の生々しい証言と教訓だ。守勢を苦手とし続けた日本(人)を、日本人論や文化論に逃避せず、今こそ変えなければならない。