
首都直下地震、南海トラフの大地震が切迫し、高度成長期に造られたインフラの老朽化が懸念される。公共事業は今、大きく変わり、防災・減災、老朽化対策、メインテナンス、耐震化がメインストリームとなる。あわせて、世界の都市間競争が激化し、大都市の再建は喫緊の課題だ。人口減少、高齢化は急激に進み、地方都市の再生は、生き残りをかけたコンパクトシティ+ネットワーク、個性ある地方創生、対流促進型の国土形成に向けて、まさに今スタートしないと間に合わない。
本書は「ダム」「道路」「鉄道」などが、戦後どのような苦難の歴史のなかで築かれてきたかを政治も交えて述べている。技術の専門家は「黙して語らず」が多いが、公共事業については、もっともっと実態を正確に踏まえて語る論客が多く出ないといけない。いつまでも危機感を欠いたキャッチフレーズの論が跋扈するようでは、脆弱国土・日本は危ない。