
「GとLの経済成長戦略」と副題にある。グローバルな経済圏で活動する産業、企業、人材に関わる話と、ローカルに密着せざるを得ない経済圏の問題は、かなり様相が異なる。Gの世界とLの世界を区分して観察し、成長を探る。GかLかではなく、GはGとして、LはLとして最適な政策を選択・遂行していく。そこに「GもLも」で行ける道が開かれる。
Gで勝ち抜くには、グローバル高度機能に特化した産業立地政策、超がつくほどの高度人材など、ビジネスオリンピックを勝ち抜く施策がカギとなる。法人税引き下げも、要は投資を呼び込む魅力的な場をつくること、産業立地競争力を高めるという問題だ。
そしてローカル経済圏だ。「じつはほとんどの産業がローカル経済圏のプレーヤー」「淘汰が起きにくいローカル経済圏では穏やかな退出と集約化で寡占的安定へ」「地方発のグローバル企業とかカリスマ経営者が必要なのではない」「中小企業政策を大転換させよ(個人保証や信用保証協会・・・)」「地方の組成は、集約によるコンパクトシティ化と駅前商店街の復活」「"モノ"から"コト"消費の時代へ」・・・・・・。Gの世界で活躍する冨山さんは、東日本の路線バスを中心とする公共交通機関を「地域住民との"共創"関係を構築」して実らせた人でもある。人口減少・超高齢社会日本の現在から未来への課題に、切れ味ある示唆を与えてくれている。