
山本兼一さんの「とびきり屋見立て怗」のシリーズ第4弾。「ええもんひとつ」など幕末の京都の町の空気を見事に表現していたが、遺作ともなったこの「利休の茶杓」もとても良い。
真之介とゆずが三条木屋町に開いた道具屋の「とびきり屋」。薩摩・会津両藩が、宮中クーデターを起こし、尊攘派を排撃した1863年(文久3年)の8月18日の政変、三条実美らの7卿落(それが一年後の禁門の変、蛤御門の変へと連なる)。そんな騒がしい京都の町で、桂小五郎や芹沢鴨、近藤勇らとも日常的に接する庶民のたくましさ、暖かさ、人情、夫婦の愛、日常の幸せ感・・・・・・。
「利休にたずねよ」をはじめとして、いい作品を書かれた山本兼一さん。今年2月、逝去された。