
後藤さんの平成政治史の3巻目。第一次安倍内閣に始まり、民主党が政権を奪取、そして野田内閣での解散・総選挙までを描く。「幻滅の政権交代」と副題が付いている。まさに渦中にいた私だが、思い起こしつつ(起こされつつ)読んだが、なぜか当時よりも息が詰まった。
この6人の内閣はいずれも苦しんだ。関わった1つ1つの事象に、私自身「ここは書いてない」ことなどがあるのは当然だが、本書はその骨格部分を真っすぐに書いている。政局話によくありがちな脚色や思い込みがないのは、本人に直接会って話を聞いているからだ。まさに「平成政治史」となっている。貴重だ。
後藤さんがいうように、平成の日本政治は激動・混乱・混迷の連続だった。また多党化も特徴だ。さらに国際情勢の激変にもさらされ、大きく影響を受けた。そして改めて「政治は人が成すもの」だと思う。「平成時代に常態化した『激動の政治』の終わりはまだ見えない」というが、世界の激動が続く以上、日本政治の激動も続くことになる。政治家にもジャーナリストにも「人間学」と「動体視力」がますます大事になると思う。