
「阪神・淡路大震災と東日本大震災」と副題がついている。阪神・淡路大震災から20年――塩崎さんは、「神戸大学で住宅問題やまちづくりを専門としていた立場から、住宅の被害調査や、復興まちづくり、仮設住宅や復興住宅などの調査研究に取り組み、いつのまにか20年が経つ。そして、いまなお震災を引きずり、復興が成し遂げられない人々が存在する・・・・・・」という。「住宅復興が極めて重要で、かつ容易ならざる難問である」「災害そのもので助かった命が、その後の復旧・復興過程で失われるという不条理な『復興災害』を避けることは、人間の努力次第で可能なはずである」と指摘する。
視点は、被災者の生活に貫かれている。復旧・復興が「まち」の復興にとどまってはならない。常に被災者の生活再建の一点から目を放すな。避難所、仮設住宅、復興公営住宅、借上げ公営住宅、復興まちづくりのなかで、コミュニティの崩壊、忘れられてきた震災障害者、孤独死、中小企業や商店主の苦しみ・・・・・・。阪神・淡路大震災の教訓は生かされたのか。それとは全く違う面を多くもつ東日本大震災で、進んだもの、全く対応できていないもの。そうした課題を整理している。