
「猫の手も借りたい」「猫なで声」「猫のひたい」「ねこ背」「猫に小判」「ねこ舌」「猫の目のように変わる」・・・・・・。一方で猫は「媚びない」「群れない」「あせらない」「気まぐれ」「マイペース」「気高く」「神秘的」・・・・・・。そこがまたねこの魅力であることは、わが家でも「ねこ」がいるからよくわかる。
山根さんは、ねこの誕生から恋、出産、子育て、老い、そして祖先のリビアヤマネコ、家畜化、農耕と定住とネズミ、ノラネコとイエネコ、オスとメスと恋愛などの「ねこの生き方」について、動物学、生態学、遺伝学などをも含めて解き明かしてくれる。その観察は大変だったことがうかがえるが、納得した。
しかし「毎年10万匹が殺処分されている」日本だ。2012年は123,420匹にのぼる。ねこを飼うには覚悟がいる。餌やりが悲劇を招く。「ひと」と「ねこ」が仲良く暮らしていける社会をどうつくるか。山根さんは「ヒントは昔の日本にある」という。そして「"ねこ"という生き物が、昔からこれほどまでに日本人の生活や文化、そして芸術にまで深く関わってきたことを、みなさんに知って頂きたかった」と語る。