「新たな国際秩序と地政学を読み解く」と副題にあるが、「地政学、文明、歴史から読む新たな国際情勢の地殻変動」だと思った。
イスラーム国(IS)、シリア、ギリシャ、ウクライナ、イエメン等をめぐる対立や紛争の構造。そこにある米国、ロシア、イラン、サウジアラビア、トルコ、イスラエル等々の思惑。その背景にあるスンナ派、シーア派等々の宗教と歴史と地政・・・・・・。
緊張する中東、ロシア地域は、日本にとっては、どうしてもその大きな構造変化とその戦略に鈍感になりがちだ。それが怖い。本書はまさにその中東、ロシアの専門家・山内昌之さん、佐藤優さんの対談だが、大胆かつ本質的、鋭角的だ。「イスラーム国、中東の狂った果実」「地政学を抜きにして中東情勢は読み解けない」「地理と民族が彩るロシアの曲折」「欧米史観と虚国ギリシャの悲劇」「中国の理屈なき海外膨張と中東への野望」「情報地政学で理解する未来図、そして戦争」の6章よりなるストレート対談。