「一億総老後崩壊の衝撃」と副題にある。今後さらに下流老人(生活保護基準相当で暮らす高齢者、およびその恐れがある高齢者)が大量に生まれ、日本社会に衝撃を与えるが、現在の若者の多くは下流老人と化す。
貧困の問題というと「絶対的貧困」とか「最貧困女子」などが取り上げられるが、「下流老人の問題は、絶対的貧困も含むが、相対的貧困が主体であるため、貧困が見えにくい。相対的貧困は、共同体の大多数と比べて著しく生活水準が低く、必要なものが足りないということだ」といい、この問題を安易に捉えてはならないと指摘する。
下流老人は3つのない――収入が著しく少「ない」、十分な財蓄が「ない」、頼れる人間がい「ない」(社会的孤立)――が特徴だが、「あらゆるセーフティネットを失った状態」と言う。ごく普通のサラリーマンであった人が65歳の時点で「資産(貯金+退職金)」「年金」で暮らそうと思っても、80歳を過ぎるとその資産が底をつく。途中、「病気」になった時(誰しもだが)、その結果は明らかだ。2025年問題というが、団塊の世代が80歳を超えた2030年問題への備えをどうするか。本書は、個人も国も今何をすべきかを、かなりストレートに具体的に踏み込む。