時代の経営環境は大きく変わり、乱気流の様相を呈している。しかしそれが常態化し、いつか安定飛行に戻るという甘い考えは通用しない。そうした未知なる経営環境は「VUCA(ブカ)」と呼ばれる。不安定で不確実性が高く、複雑で不明確・不透明な環境ということだ。
その乱気流の時代に勝ち残る経営は「LFP(ライト・フットプリント)=足跡が残らないほど、敏捷で変化に柔軟な経営」でなくてはならない。それも並外れた敏捷性、並外れた柔軟性、並外れた創造性をもつことだ。伝統の大企業・組織にありがちな「遅い」は致命傷だ。それを確立するためには(1)中央集権と自己分散の両立(現場に大きな権限)(2)協働協創(3)相互信頼(4)隠密潜行――が重要だという。
その変革の実例、取り組みとして「グーグル」「ウーバー」等をあげつつ、(1)本社主導から現場主導(現場力こそ最先端の経営)(2)体格一辺倒から体質重視(3)戦略至上から戦術重視(4)革新から改善重視(5)個人依存からチーム重視――などをあげる。そして、これらに挑戦している「シュナイダーエレクトリック」「ZARA」「BMW」「東レ」「セブン&アイ・ホールディングス」「トヨタ」の6社をあげている。「体内時計を入れ替えよ」「ダイナミックに"時間"を買え」「常に現場」「初にこだわる」「タスクフォースを編成せよ」――まさにその通りだ。経営資源は「ヒト・モノ・カネ」に情報が加わったが、今はそれに「時間(スピード)」が第5の経営資源になった。だからLFPだとの主張はその通りだ。