「私がUAEから届けた『3.11』への支援」と副題にある。1990年にUAEの男性と結婚してUAE(アラブ首長国連邦)に移住した著者。東日本大震災にドバイで「チャリティー着物ショー」を開催し、支援に乗り出す。政治・文化・慣習・システムの違いに直面し、苦難に次ぐ苦難。「認可のない義援金集めが犯罪となるこの国では、相手が認可をこの目に見せるまでは、着物ショーをする気は全くなかった」「2001年以来、アメリカの監視団が国際送金を厳視しているため、目的のはっきりした送金の形をとる必要がある」ために、大変な苦労が続く。「ほとほと私の神経も磨り減った」という6か月間だったという。しかし、その経過を語るなかで、政治・宗教・習慣・文化の違いのなかで、いかに心の交流が図られていくかが描かれる。現場の現実だけに生々しく、きわめて説得力をもつ。
UAE、イスラーム、イフタール・・・・・・。これからの世界と日本を考えるなか、重要な指摘があふれている。