天国でまた会おう.jpg「その女アレックス」のピエール・ルメートルの作品。仏の権威ある文学賞・ゴンクール賞受賞作。

第一次世界大戦も終結間近の1918年11月、武勲を狙った仏軍のプラデル中尉は斥候に出した二人を背後から射殺し、仏軍の怒りをあおる。それに気付いたアルベールもプラデルに生き埋めにされるが、エドゥアールに救い出される。しかし、エドゥアールも砲弾の破片によって顔の半分を失ってしまう。

戦後、二人はプラデルの目が光るなか、人目を避けるようにパリで極貧の生活をする。そして二人は、全国の戦没者の記念碑を建て、遺族から金を集めるという架空の事業"国家をゆるがす詐欺"を企てる。一方、プラデルは戦没者の墓地建設で大儲けしようとする。物語はどんどん緊迫の度を増し、二転三転、急テンポで突き進む。

「アルベールは倫理の名のもとに、復讐を夢見ていた」「エドゥアールは違った。復讐では、彼の目ざす正義の理想は満たされない。(個人的な問題ではない)ひとりの人間に責任を負わせるのでは、彼は満足できなかった。国には平和が戻ったけれど、エドゥアールは戦争に対し宣戦布告をしていた」――。

戦争にある本質的な絶望と熱狂。それは戦後においても、戦死者追悼の熱狂や生還した兵士への冷淡、虚無となって打ち続くことが描かれる。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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