人生のみちしるべ.jpg宮本輝・吉本ばななの対談。実にいい対談となっている。「ばななさんの小説には、下卑た人間、嫌なやつってあんまり出ていないんです」「文学というのは、自分の小さな庭で丹精して育てた花を、一輪、一輪、道行く人に差し上げる仕事なのではないか――。現実世界は、理不尽で大変なことばかりだからこそ、せめて小説の世界では、心根のきれいな人々を書きたいと。書き手の心構えとして、その点は、ばななさんとも通底するんじゃないですか」ということから対談が始まっている。

誰もが実は直面している日常の生老病死。生きて死んでいくことをどう捉えるか、そのなかでの幸福をどう捉えるか。有無の二の語も及ばず、断常の二見を越える世界を如実知見する生命力――そんな語らいが続く。宮本輝の最新作「田園発 港行き自転車」で私は、「縁の世界」と「肯定の世界」を感じたが、「小説の世界では、心根のきれいな人々を書きたい」(宮本輝)、「輝先生の小説を読むと、気持ちが大らかに、優しくなるのかもしれません。人生を肯定したくなるんですね」(吉本ばなな)という言葉で、対談は結ばれている。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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