「眠りの人類進化論」と副題にある。座馬さんは野生チンパンジーの睡眠を調査している研究者。人間の眠りを明らかにする。そのためには霊長類の睡眠にまで広げて研究し、人類の睡眠の普遍性を考えるということだ。
チンパンジーは毎日、木の上にベッドをつくって眠る。そして次の日には移動してまたベッドをつくって眠る。ベッドは、オランウータン、ゴリラ、チンパンジー、ボノボ、ヒトの「共通祖先」が作り出したようだが、進化の過程で、オランウータンはベッドの上に屋根を作り、ゴリラは地上にベッドを作る。チンパンジーの作った木の上のベッドが「寝てみたら快適だった!」ということから、作る場所、構造、寝姿、群れとの関係、外敵との戦い、睡眠の深さと長さ、産業革命前は1晩で2回眠っていた人間(夜に排泄で起きるのはチンパンジーも同じ)、枕や畳の意味など研究が続けられる。
チンパンジーに「何故」と聞いてみたくなる。