ものづくりの反撃.jpg「我々3人は、バブル経済時にも、その後の不況期にも、金融危機時にも、円高で日本産業空洞化が叫ばれた時期にも、リーマンショック時も大震災の時も、良い現場を作り、(良い現場を)日本に残せと一貫して言い続けた。しかし今、ポスト冷戦期の低賃金国優位の局面が一段落し、グローバル能力構築競争の時代が来つつある中で我々は、日本を起点として"世界中に良い職場を残せ"と呼びかける時代になってきたと感じる」という。冷戦終結後のグローバル競争のなかで、最も激戦地であった貿易財の領域で、賃金20分の1の中国の登場をはじめ、数々のハンディを背負いながら、逆境に耐え、鍛え、強くなり、持続してきたのが、今の日本の貿易財現場だ。産業空洞化論を言っていた論者が、今度は国内回帰論を言ったりしているが、どちらも本質論から外れ、右往左往しているだけだ。国内には鍛え上げられた「良い現場」がある。国内と海外の同時強化が大きな流れだ。ずっと中小企業の現場を見続けてきた人の指摘であり、説得力がある。

アメリカ型の「IoT」のイノベーションは、上空のICTの世界から降ってくるタイプだが、それに対して製造業の現場という下界から反攻するというのがドイツの「インダストリー4.0」の言い分だろうが、それは中間あたりというべきもので、結局、地上の現場でのFAの改善を一番やっているのは日本だ、という。

「オタオタして自己否定するな」――苦境の25年を生き延びた日本の優良現場の粘りは大したものだ。それを直視して日本は戦略的に取り組むことが大事だという。きわめて論理的、かつ感動的でさえある。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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