新・御宿かわせみ お伊勢まいり.jpg平岩弓枝さんの「御宿かわせみ」シリーズは、昭和48年に始まり、全34巻。そして「新・御宿かわせみ」となっても続き、本書はその最新作。

大川端の旅宿「かわせみ」は江戸から始まるが、東京となった明治の初めのこと。春の嵐で屋根瓦を吹き飛ばされ、改築のために休業を余儀なくされるが、女主人のるいは千絵に誘われて、十数人の一行で「お伊勢まいり」に行く。その道中でさまざまな事件が起きる。嶋屋長右衛門は行方知れず、その女房のお仙は不慮の死、大坂屋平八は病のために脱落、小泉屋の火事・・・・・・。そんななか、この道中は「明らかに誰かが仕掛けたもの」で、千絵が非業の死をとげた夫・畝源三郎の敵討ちに狙いがあったことがわかる。そして、雷鳴が轟くなか・・・・・・。

時代と庶民の日常。喜び、悲しみ、怒り、生老病死が、そっと心情まで浮かび上がるように描かれる。「『変わりましたよね、このあたり・・・・・・御一新の前とは・・・・・・』お千絵が町並みを眺め、るいは大川端の方角の空を仰いだ。歳月が移り、世の中が変った。けれども、その中で生き抜いて来た人々の想い出は想い出す人がある限り消えはしない。人は一生をかけて想い出を紡いで行くものかと胸の内で小さな吐息を洩らした。空に雲があった・・・・・・」――。いい。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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