有川浩さんの2003年以来のエッセイ集。率直で、理屈っぽくなく、ストレート。目線が現場にあり、興味が広範で躍動感があり、「お天道さまの下」で生きる明るさがある。それぞれに「振り返って一言」が付いて肉声が聞こえる。面白い。
「倒れるときは前のめり(竜馬の言葉とも司馬遼太郎とも)」「心に太陽が照っていなければ創作活動はできません・・・・・・」「読書は遊びだ(本好きは楽しむために本を読む)」「言葉は利器にもなるし凶器にもなる。インターネットによって言葉の行使が簡単になったからこそ、使い方には気をつけたい」「ネガティブな言葉は、他人に放ったつもりでも、自分の魂にダメージが蓄積していく。ポジティブな言葉は自分にパワーを蓄積してくれる」「『ゆるい共感』を呼ぶすさまじい本能(秋月りす「OL進化論」)」「宇宙開発に失敗はない・・・・・・宇宙開発は歩みを止めたら最後である」・・・・・・。
文庫と単行本、創作の裏側、映像化と作家の気持ち・・・・・・。あまり聞いたことのない世界にふれることができた。「木綿のハンカチーフ」を読んで、改めて太田裕美メドレーを聴いた。「三匹のおっさん」もいいが、児玉清さんは「とびきり素敵なおじさん」だったろうと私も思う。