温かく優しい物語だ。鎌倉市のとある小学校の近くにあるツバキ文具店。先代(祖母)が亡くなって、反抗的で海外に逃げていた雨宮鳩子(ポッポちゃん)が帰って代書屋を継ぐ。
隣りに住むバーバラ婦人、男爵、パンティー、マダムカルピス、守景とその子陽菜(QP)など、登場人物はいずれも幸せそうだ。代書屋に持ち込まれる仕事は「お悔み状」「恋文」「離婚報告の手紙」「かつての恋人に元気であることを伝えるだけの普通の手紙」「借金を断る手紙」「汚文字の人の代筆」「天国からの妻への手紙」「先代が文通相手で本心を吐露している手紙」「QPちゃんの鏡文字」「絶縁状」・・・・・・。
夏、秋、冬、春と経験を経て、鳩子はわだかまりを乗り越えて「亡き祖母(先代)への長い手紙」を書く。感動作。人生を丁寧に生きていく、幸せを見つけて生きていくことが心に浸み入るようだ。