「いくら乱暴な人でも上司に会うのに腕まくりをするようなことはすまいが、ことばに関しては腕まくりのようなことばを使って平気である。ことばの文化は服装ほどには進化していないのかもしれない。ことば遣いは相手を考え、遠慮会釈のあるのが一人前である」
人にやさしいことば、また刺すことばがあるが、「人を傷つけない、人にやさしいことばは、美しいことば以上に大切である」
「・・・・・・たいへん役不足でありますが・・・・・・」は力不足の誤り、ことばの過ちだ。
「あいさつ、人のためならず」
「ナシのつぶて(投げた小石が返ってこないことに梨とナシをかけた)は礼を失する」
文化の成熟した社会では、ことばが大切にされる。ことばは教養の目じるしだ。戦後、ことばが乱れ、人の心もすさび、人間関係がざらざら、ぎすぎすしている。乱雑な世の中。敬語をきちんと使える人になることが成熟さの度合だ。
「長上に対してなれなれしい口をきいて平気だというのは未熟である」
淡々と書かれているが、内容は重い。