「持たざる国」からの脱却.jpg「日本経済は再生しうるか」が副題。「IT革命による世界の生産構造の激変」が、今、世界で起きている。それはIT技術による製造工程のモジュール化によってもたらされたものだという。個別企業固有ではなく、企業横断的に、しかも世界のどの地域でも可能となっている。部品のモジュール化により、製造工程を臨機応変に変え、大胆なアウトソーシングも可能となる。そして「米国の一人勝ち」となっているが、それは米国の生産の仕組みが元来、モジュール化しており、労働市場においてもレイオフは一般的だし、経営者も働く人も多くの企業を渡り歩いていく。流動性をもっている。そして、その過程でキャリアアップしていく。

日本は、かつては「一人勝ち」の時代があった。終身雇用があり、企業のなかに一生があって、そのなかで経験が生かされ、生産性も上がっていた。しかし今、その成功体験が硬直的な雇用慣行に縛られることになっている。全くモジュール化していない労働市場ということだ。不採算部門をかかえ、人はその能力を発揮できず(能力が追いつかず)、余剰人員となっていても、解雇は難しい。解雇されてしまった人は次の働き口が見えないから、ワーク・ライフ・バランスを欠いてもしがみつくことになる。日本では転職は大変高いリスクを伴うわけだ。非正規社員もキャリアを積めない。生産性が上がらず、国全体の付加価値が増えなくなり、日本型格差社会ともなる――そう指摘する。

だからこそ、「一億総活躍」「子育て支援」「雇用支援」「働き方改革」が大事となる。

ドイツとスウェーデンの取り組みを紹介し、今日的状況のなかで、ワーク・ライフ・バランスを回復して日本人の能力を解き放ち、人的資源をしっかり活用し、稼ぐ力を回復すれば、発展と幸せにつながることを説く。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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