日本人が脆弱になっている。相手にばかり気を使って、ストレスをため込んでいる。親は子を甘やかして、どやしつけないし、教師も叱らない。マスコミも変で軽薄すぎる。おかしなこと、おかしな事件も多いが、どうも世の中は変だとも思っていないようだ。そんな時代にズドーンとストレート球を投げる。そして世の「正論」「・・・・・・したらまずいんじゃない」のたぐいを打ち砕く。痛快。思考・感性の原点、原像を呼び起こしてくれる。
「『文明』は我々の暮しを豊かにしたかもしれないが、それと引き替えにかつて我々の中にあった謙虚さや感謝や我慢などの精神力を磨減させて行く。・・・・・・もう『進歩』はこのへんでいい。更に文明を進歩させる必要はない。進歩が必要だとしたら、それは人間の精神力である。私はそう思う」・・・・・・。
「来るか?日本人総アホ時代」「人生相談回答者失格」「子どものキモチは(司法と責任、賠償)」「妄想作家」「蜂のキモチ」「覚悟のし方」「懐かしいいたずら電話」「思い出のドロボー」「平和の落し穴」「老残の悪夢」「いちいちうるせえ」「答は見つからない」「テレビの魔力」「おしまいの言葉」――全二十八編、面白い。