1931年9月18日、奉天の郊外、柳条湖の南満洲鉄道の線路爆破(満州事変)。その前年の1930年4月のロンドン海軍軍縮条約、11月の浜口雄幸首相の東京駅での狙撃。1月には金解禁、世界恐慌の嵐。1932年3月、満洲国建国宣言、溥儀が執政に就任。そして国際連盟はリットン調査団を派遣。この激動のなか、中国で日本で、各人の思惑が錯綜し、激突する。
大清の復辟を熱望する溥儀、梁文秀。その流れに従う張景恵。それに断固として抗う馬占山は「還我河山。我に山河を返せ」と叫ぶ。一連の挑発行為の中心者・関東軍の板垣征四郎、土肥原賢二、動かす石原莞爾。土肥原の下にいた志津邦陽。そして日本国内において関東軍と見解を異にする永田鉄山、呼び寄せられる張作霖の軍事顧問であった吉永将。石原等の関東軍参謀たちが拡げた大風呂敷を、どう畳むかという使命に立つ武藤信義大将と溥儀の会談。東北軍を離れ"龍玉"を持つ李春雷と林純先生・・・・・・。
「満州国とは何か」――満州国建国をめぐり、謀略渦巻く濁流の時代を描く。