「竜馬がゆく」「翔ぶが如く」「坂の上の雲」の三大長編。「国盗り物語」や磯田さんが最高傑作という「花神」。さらに『「明治」という国家』『「昭和」という国家』「この国のかたち」・・・・・・。「司馬史観」と「司馬人間学」。「戦国時代は何を生み出したのか」「幕末という大転換点」「明治の理想はいかに実ったか」の章を経て、司馬遼太郎が「異常な時代、鬼胎の時代と呼んだ昭和前期」を通じて日本の歴史と日本人の精神と国家の成功と失敗を俯瞰する。
「信長、秀吉、家康の三英傑をどう見るか」「革命の三段階(新しい価値の創出者・予言者としての吉田松陰が現れ、次に高杉晋作のような実行家・革命家が現れ、最後にその果実を受け取る山県有朋のような権力者が生まれる。そして革命は腐敗が始まる)」「信長の合理主義をさらに発展させたような大村益次郎」「合理主義者が革命的勝利を収め、その合理性やリアリズムを失った時に組織はダメになる」「明治は、リアリズムの時代でした。それも透きとおった、格調の高い精神でささえられたリアリズムでした(「明治」という国家)」「福沢諭吉の言葉に『一身独立して一国独立す』というものがありますが、自分がきちっと自らの商売や役割を果たすことで、『一国独立』、つまり国はきちっと回っていく」「明治の日本には弱者の自覚、ある種の謙虚さが残っていた」・・・・・・。
明治人が苦労してつくり上げた国家は日露戦争後から暴走を開始し、昭和前期を経て敗戦に至る。「国家と人間」の歴史、「おごり」とは何か、を考える。