中身を知ると驚く。舞台は中央アジアのかつてアラル海と呼ばれた砂漠と塩の過酷な土地に建国された小国・アラルスタン。カザフスタン、ウズベキスタンなどの大国に囲まれ、米国やロシアの影響も大きく、イスラム過激派の運動もある。「世に文化や信仰は数あれど、その思いだけは万国共通だ。人は世界に関わりたいと願い、そして世界から疎外されつづける。大国に囲まれ、政治も9分9厘まで決められてしまうこのような小国では、なおのこと」・・・・・・。
その小国・アラルスタンで信頼を得ていたパルヴェーズ・アリー大統領が暗殺され、政府要人は次々と逃亡していく。立ち上がったのが後宮の乙女たち。側室というよりも、アリー大統領は後宮を若い女性たちの高等教育の場と改革した。そのなかにリーダー役のアイシャ、日本人少女ナツキ、その友ジャミラの3人がいた。自分たちでこの国を担うしかない。今の危機を突き破って進むしかない。
"大和撫子"ではなく、まさにダイナミックに荒野を駆けて戦う少女ナツキの純粋な"あとは野となれ大和撫子"だ。国家存亡の危機、人心不安、多民族国家のなかで走る姿を、ハイテンポで次々変化する映像を観るかのごとく活きいきと描く。