「保育サービスに1.4兆円の予算を投入すれば、数年以内に労働生産性成長率は約0.5%、経済成長率は約0.6%上がり、子どもの貧困は約2%減る可能性がある」「潜在的待機児童は2013年時点で約80万人だった」などと試算をし、いま日本に最も必要とされるのは「保育サービスを中心とした子育て支援」であり、「子育て支援が日本を救う」という。
労働生産性について「高齢者の割合が増えると、翌年の労働生産性が下がる」「労働力女性比率が上がると、翌年の労働生産性が上がる」「労働時間が短くなると、同年の労働生産性が上がる」――。子どもの貧困を減らすには「児童手当、保育サービスの拡充、ワークシェアリング、失業給付の4つだが、とくに上の2つ」――。そして、「出生率を改善しなくても、保育サービスを拡充すれば経済成長は望める。財政難、子どもの貧困、自殺率などの問題も、保育サービスを拡充すれば改善に向かう」ことをデータを用いて分析する。さらに社会保障の各国の歴史を地政学と宗教という根源から解読し、「高福祉国家・北欧とルター派の関係」「カルヴァン派がつくった低福祉国家・アメリカ」を述べ、きわめて興味深い。
「子育て支援の政策効果」と「財源をどうするか」という日本の問題で結んでいるが、とくに保守とリベラルが「労働生産性」と「子育て支援」では、共有して取り組めるではないかという。