じつに面白い。寄席に行ってその場で聞くかのようだ。庶民の日常の会話が、ムダなくとぎすまされ、人情の波となってリズミカルに押し寄せてくる。
「噺家はその日の高座に全身全霊で挑みます。噺は、噺家にとってかけがえのない財産です。先代、落語の神様たちがあちこちで笑いをとってきた演目を、あたしたちの代で途絶えさせたり、減らすなんてとんでもないこと。・・・・・・お客さまに腹いっぱい笑ってもらえるよう、言葉を工夫したり、エピソードを変えたり、ネタを磨き続けることが大切です」・・・・・・。
「井戸の茶碗」「おすわどん」「鍋草履」「紙入れ」「壺算」「つる」「竹の水仙」「紺屋高尾」――。いずれも磨き上げられた芸術。