仏大統領マクロンが、自らの生いたち、仏の再興戦略、難民・移民とテロ、EUの政治・経済の展望等を率直に語る。解説する池上彰氏は「通底する思想は、一言で言えば『アンガージュマン』。人々の政治参加による新たな『フランス革命』なのだ」といい、増田ユリア氏は「右でも、左でもない。前へ!(自由・平等・友愛の精神は前進あるのみ)」という。
感ずるのは、「仏・EUの再建への意欲」「左右ではなく、上下。下からの改革」「難民・移民やテロ等に対する冷静かつ真剣な姿勢」「仏と欧州に蓄積してきた歴史・文化を踏まえた思想と戦略」等々だ。遭遇している困難さは、日本と同種の経済・社会保障・働き方・教育等の問題もあるが、外交・安全保障・EUとその周辺諸国関係等は明らかに違う。
マクロンの主張はかなりシンプルに凝縮される。例えば対テロ。「分裂や憎悪の言葉にはけっして屈せず、自由のために全力を尽くすこと。イスラム教がフランスのなかに真の居場所を持つことができるよう手助けをすること。ただし、フランスの理念についてはけっして譲らず、自分たちは例外だとするあらゆる共同体主義と闘うべきである」。また例えばユーロ圏。「十年かけて税制、社会対策、エネルギー問題の一律化を達成しなければならない。これはユーロ圏の核となる政策になるだろう。さもなければユーロ圏は空中分解してしまう。それには、2年以内に真の政治的決断が前提となる。・・・・・・共通の予算と迅速に実行されるべき投資力を中心に経済格差を縮めていくことにある」・・・・・・。