さざなみのよる.jpg43歳、小国ナスミがガンで亡くなる。ガンは長い闘いであるだけに、人はある意味では強くなり、突き抜ける部分もある。「だからぁ死ぬのも生きるのも、いうほどたいしたことないんだって」――。もともと明るく、真っすぐ。

 「ナスミは、好江の話をいつも自分のことのように聞いて、腹の底から怒り、バカみたいに喜んでくれた。腹立たしいことも、時間が経てば、二人は犬がじゃれあうようにそのことで大笑いした」。加藤由香里が上司からひどい仕打ちをしたことを知って2発、顔面に見舞ったりもした。「私がもどれる場所でありたいの。誰かが、私にもどりたいって思ってくれるような、そんな人になりたいの」「清には、ナスミと話したファーストフード店を思い出す。二人が悲しみの真っ只中にいたことを。あれは、悲しいけれど、少し甘酸っぱい時間だった」「あげたり、もらったり、そういうものを繰り返しながら生きてゆくんだ」・・・・・・。

ナスミは一人で死んで逝ったが、家族や友人一人一人には、さまざまな感情が渦巻く。感謝したり、涙したり、微笑ましく思い出したり、今の自分の中にナスミが住んでいることに気付いたり、夜はさざなみのように寄せてくる。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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