天子蒙塵第二巻発刊から一年半、待望の第三巻。満洲国とはいったい何か。馬占山は「還我河山(我に山河を還せ)」という。日本は「満洲を奪った。・・・・・・その悪業を覆い隠すために五族協和の理想郷」をいう。溥儀は「日本のなすがままに東北へと向かった。・・・・・・これは大清復辟なのだと、理屈をつけ、みずから魔法をかけながら」。張学良は「私は東北を奪われた。溥儀は私にかわって東北王となった」「いいえ。あなたは東北を捨てて中国を選んだの。皇上は中国を追われて東北に流れついただけ」――。1930年代前半、満洲国建国をめぐって、各人が業を背負って"迷走"する。溥儀、張学良、馬占山、蒋介石、武藤将軍、甘粕正彦、石原莞爾、永田鉄山、志津大尉、さらに川島芳子、吉田茂・・・・・・。
「満洲国とは何か」の歴史を人間像から剔抉する。