社会構造の変化、格差が「健康格差」へと収斂し、人の命の格差に直結する。WHOは「健康格差」を生み出す要因として、「所得」「地域」「雇用形態」「家族構成」の4つの背景を指摘し、各国に対策を求めている。
「非正規雇用が貧困を生む」「健康に対する理解度、関心の異なりを生じている」「仕事に追われ、食への関心、健康診断を疎かにする」「未婚男性は外食・中食、乱れた食生活になりがち」「経済的にゆとりのない家庭の方が、菓子やインスタント食品に頼り、肥満率や虫歯が多い」「秋田県の男性の短命は塩分の取りすぎ」「地域格差には医療・介護機関の充実度がある」・・・・・・。
そこで対策――。「"食塩"に目をつけた英国の心疾患と脳卒中激減策(2003年からの8年間で4割の死亡減)」「野菜摂取量を増やした足立区の"ベジ・ファースト""ベジタベライフ"の糖尿病予防運動」「個人の負担でなく社会の環境を変えるポピュレーション・アプローチ(先進的事例の地域包括ケア)――埼玉の"幸手プロジェクト"」「ソーシャル・キャピタルで注目される愛知・武豊町」・・・・・・。要するに、個人に委ねるのではなく、さまざまな"仕掛け"を政策でも公的サービスでも商品を作ることでも、健康診断の受診でも行うことだ、と実例を示しつつ指摘する。
「食生活を改善せよ」と叫ぶ段階は終わった。病気も生活習慣病が焦点だ。知識を現実化する"行動回路"の"仕掛け"――。防災でも疾病でも健康長寿でも、あらゆる面でそこがキーポイントとなっている。