持続可能な医療.jpg「超高齢化時代の科学・公共性・死生観」と副題にあるように、日本の医療制度の課題とか、超高齢社会の社会保障と財政などという問題を扱っているのではない。「持続可能な医療」という現実的問題を軸としながら「21世紀は世界人口の増加の終焉と人口高齢化の世紀となる」「高齢化問題とは人口動態の一局面である。人口問題を介して環境問題と高齢化問題は密接につながっている」「グローバル定常型社会と日本の位置」「死亡急増時代と死生観の空洞化」「持続可能な福祉社会の理念と政策」などと、視点は深く、広い。

「サイエンスとしての医療」「政策としての医療――医療費の配分と公共性」「ケアとしての医療――科学の変容と倫理」「コミュニティとしての医療――高齢化・人口減少と地域・まちづくり」「社会保障としての医療――『人生前半の社会保障』と持続可能な福祉社会」「死生観としての医療――生と死のグラデーション」の各章を通じて、超高齢社会に向かう今、広い観点からどのような視野をもつべきかを考えさせる。

「実は日本の医療費問題の"隠れた主役"は少子化問題である」「医療の"周辺部分"に現在よりも相対的に大きな配分を行い、通常の診断・治療分野への負荷を減少させ結果として医療システム全体としての費用対効果を高める」「混合診療の拡大は中所得者以上に恩恵があるなど問題が多い」「病院・診療所の医療費配分の見直しを」「公共性という視点が日本の医療では不足している」「介護という領域は市場経済に委ねるのではなく、公的な財政の枠組みで運営」「これからは労働集約的な(人手を多く使う)分野に資源配分を」「環境福祉税」「生命倫理とケアとしての科学」「地域密着人口(子ども+高齢者)の増加に対してのまちづくり」「高度成長期は"地域からの離陸"だが、人口減少・高齢化時代は"地域への着陸"」「子ども、若者への支援が日本の未来の持続性を高める」「基礎年金を税で手厚くし、報酬比側部分をスリム化する」「格差はフローを中心に論じられるが、大きいのは金融・貯蓄や土地等の資産格差(その分配策)」「生き方とともに逝き方の語り合いを」・・・・・・。数多くの提言がある。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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