横浜の女子高で出会った野々原茜(のの)と牧田はな。庶民的な家庭で育ち、しっかり者で頭脳明晰な「のの」と、エリート外交官の娘で優しく感じやすい心と芯の強さが同居する「はな」。二人は友情から愛情、そして恋へと進み、関係は行くところまでいく。高校、大学、そして40代と、深い恋がゆえの挫折・別離を繰り返し、時をそのつど置きながらも心の奥の奥を露わにする往復書簡・メールがずっと続く。秘めた魂の交流書簡は、息苦しいほどだ。
運命、業の次元の交流のなかで、女性のキメ細やかさと、突っ込む直進の力、胆の決め方には驚嘆する。普通の男性ではとても及ばぬ激しさだ。生老病死の世界に生きる女性の切実さと靭さが、往復書簡の行間を埋め尽くす。淡い女子学生の往復書簡から始まるが、一気に大地が揺らぐような衝撃を受ける。心の奥底のマグマを開け続ける濃密な書だ。