維新と敗戦.jpg「日本の近代を問う」という膨大なテーマは「近代日本の病理を最深部から問う」ということだ。西洋文明への羨望と脅威から始まった明治は、昭和の敗戦に帰結し、平和と議会制民主主義の戦後は経済的豊かさの半面、軽薄な哲学不在の時代をももたらしている。明治が西洋文明を受容するなか、「日本とは、日本人とは何か」が間歇泉のように常に吹き上がる時代であったように、その後も「西洋対アジア」「豊かさと空虚」「ナショナリズムとパトリオティズム」「国家と個人」「権威・文化としての天皇と権力の天皇」「文明と文化」「思考と肉体」「議会制民主主義とファシズム」等、格闘が繰り返されてきた。現代はその格闘が減衰していることこそが問題だと私は思う。

「思想家とは、時代を『診る』医者である」と先崎さんはいう。時代の変化相のなかで、個人の孤立と不安を察知し、時代への違和感を持ち続けること。人間の複雑さ、不可解さを抱きしめ、思考停止の裁断を戒める骨太の誠実さを持つこと。本書では、福澤諭吉、中江兆民、高山樗牛、頭山満、保田與重郎、丸山眞男、江藤淳、竹内好、橋川文三、吉本隆明、三島由紀夫、網野善彦、高坂正堯ら錚々たる骨太の思想家23人を抽出して論じ、さらに自ら「明治と現代」を論述する。鮮やかな「近代日本の思想史」となっている。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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