歴史上の事実や事件は何故起きたのか。史実の背景にある日本人の感覚がどのように形成され、沈潜したり表面化してきたか。日本の国家・貴族・武士、組織の変遷等々、史実の羅列ではなく、広く高い視線からズバッと語ってくれる。鮮やかで面白い。
10の角度から日本史を考える。「信(戦国時代の同盟、"信頼できる男"家康、銭の信用度)」「血(血が地位より重い日本史、才能よりも血統、血脈、世襲)」「恨(天皇の名と恨み、徹底的に幕府に拒否された後鳥羽天皇、切腹とは)」「法(律令国家日本の輝ける歴史・輝ける古代?、基づくものは法ではなく道理)」「貧(昔から貧しかった日本、大飢饉と貴族、日本史の東西格差問題、貧しかった関東・東北)」「戦(南朝軍は勝ったのか、戦術・戦略・兵站、楠木正成の千早城の籠城戦、長篠の戦の物量、戦争のリアル)」「拠(日本には城壁がない、信玄西上作戦は上洛ではない)」「三(中国の三極と日本人が苦手な"第三極"という視座、東北は中央と"5回戦って5回負けた"。東北の底上げがあって江戸の繁栄)」「知(知識人より趣味人になった平安貴族、貴族社会も宗教界も前例主義、江戸時代に起きた知の爆発、合理主義の明治と神話化する大正)」「異(異が生んだ天皇、海外と交わった平家と国内回帰する鎌倉政権、異と繋がる室町幕府、才能の抜擢や虐殺もないぬるい日本の歴史)」――。
日本という国家と日本人に流れるものを考える。