童の神.jpg935年平将門の乱から1017年藤原道長が太政大臣になる平安時代後期。京、山城、大和、摂津、丹波の地域――。朝廷を背景にして源頼光、その配下の渡辺綱、卜部季武、碓井貞光、さらには坂田金時らは、京人(みやこびと)として、周辺を「童」と蔑称(童は辛、目、重と分けられ、目の上に墨を入れられ重荷を担ぐ奴婢)し、制圧しようとした。摂津竜王山に移った滝夜叉、北に盤踞する丹波大江山の粛慎(鬼)、南に勢力を拡大する大和葛城山の畝火(土蜘蛛)らは三山同盟して立ち向かう。その中心に押し上げられたのが越後藩原郡の豪族の出の桜暁丸(おうぎまる)。花天狗とも酒呑童子とも呼ばれた桜暁丸は、皆が手をたずさえて生きられる人の世をひたすら求めて戦う。「京人は我らを鬼と呼ぶ。土蜘蛛と呼ぶ。そして童(わらわ)と呼び蔑む。理由などない。己が蔑まれたくないから誰かを貶める」「胸を張ってくれ。我らは何も汚れてなどいない。父母を想い、妻を想い、子を想い、仲間を想う。我らは誰よりも澄んだ心を持って生きたはずだ」「生きるのだ、何があろうと生き抜け。そして愛しき人と子を生し、我らの心を紡いでいこう」――。

桜暁丸らの死闘は壮絶なものがあるが、朝廷側にも童(わらべ)と呼んだ渡辺綱、同じ抑圧された側から加わった相模足柄山出身の民・坂田金時らがおり、桜暁丸らとの心の交流が描かれる。大江山の酒呑童子の側から時代を剔抉する力作。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

太田あきひろホームページへ

カテゴリ一覧

最新記事一覧

月別アーカイブ

上へ