「政治制度から考える」が副題。「財政赤字が拡大している」「増税が必要でも政治家は先送りしている」「日本人の時間当たりの労働生産性は低い」「最低賃金の上昇は鈍い」「深刻化する人口減少・少子高齢化に手が打てていない(人災)」「賃金体系や税制が男性稼ぎ主世帯優遇のシステムになっている」――。日本の政治で問題視されることは多岐にわたるが、政治制度から改革の方途を考えようとしている。
権力分立の大統領制と権力融合の議院内閣制――。大統領制は決して強くなく「政策決定は立法府の議会」「立ちはだかる議会」となり、日本では連立が安定していることもあり、議院内閣制による政権の安定が確立しているが、首相一強体制の死角もある。とりわけ強いリーダーとみなされてきたのが英首相だが今・・・・・・。仏の半大統領制。国会審議において「もっと議員立法を」「法案修正がほとんどないのは、与党の事前審査」「質疑と質問は違う」「衆議院解散の頻度が高く、落ち着きのない政治を生む」等が語られる。
第3章は「無能な議員が多すぎる?」だ。「投票率が低すぎる」「ネガティブ報道にさらされる議員」「世襲だらけ」「女性議員比率は世界最低レベル」などを指摘しているが、選挙制度自体の問題も大きい。第4章は「選挙が政治をダメにする?」だが、変える難しさはこの20数年、本当に味わい尽くしてきたことだ。
情報社会のなかでのメディア政治をどう生き抜くか。「政治は人が成すもの」であり、どう人間力を鍛えていくか。複雑化する社会、世界のなかで、どう識見・洞察力を磨くか。現場感覚、官僚とは別のリーダーシップをどう確立するか。「未来に責任」――どう時間軸をもった政治を築くか。政治制度ではないことに、課題はとてつもなく重く大きい。