なぜ日本の会社は生産性が低いのか?  熊野英生著.jpgすでに日本企業の生産性は先進国の最下位レベルまで落ち込んでしまっている。日本はOECD諸国の1人当たり国民所得は19位(2016年)、就業者の1時間当たりの名目労働生産性では20位。「生産性が落ちると国が貧しくなる」「医療・福祉・介護に低生産性が目立つ」「日本の弱点は"サービス業"(労働生産性が低い労働集約型サービスに他のカテゴリーから就業者が移動してくる)」「多くの日本人は、製造業の潜在力を世界最高峰だと信じているが、"ダントツ"がないのが日本の弱み(日本にはニッチ分野において突出した非価格競争力をもつ企業が少ない)」「チャンスを活かすために制約の全廃を」と、まず指摘する。

日本企業は構造変化への対応策を間違えた。代表例は「成果主義」――。企業が「個人単位での業績」を追求する悪弊が広がり、「ワンオペ」が仕事のスタイルとなった。パソコンの普及が拍車をかけ、余裕が失われ、社員教育の機会も失われてきた。成果主義は中長期的な利益追求には向かない。個人の仕事を工夫する以上に大事なのは、「組織やチームの成果、協業の効果だ」という。

日本は経費削減での成功体験があるが、経費削減で生産性向上を求めるのは愚だ。成果主義とセットで労働時間規制を緩和させてしまうと、長時間労働の弊害が発生する。「チームワークと協業のメリット、働く人の目線の高さ、職業への忠誠心と利他的行動」の3つが生産性上昇のために必要だ。大切なのは「働く意欲の押し上げ」――現場を知らない幹部が社内に多くなるとすぐ削減してくる。とくに交際費、会議費、交通費、広告宣伝費、教育費、研修費、研究開発費・・・・・・。このようにKで始まる項目を削ると、知識や技術が細り、会社の「無形資産」が壊れていく。最も大切なのは、「新しいことに挑戦する勇気である」と結ぶ。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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