その子の「普通」は普通じゃない  富井真紀著.jpg児童虐待、貧困の連鎖――。富井真紀さんは自らの壮絶な半生を赤裸々に語りながら、どうすれば「普通」になれるか。なぜ「普通」になれないのか。「貧困の連鎖を断ち切るために」(副題)今何ができるか。自ら立ち上げ格闘中の「居場所がない子のための読書・勉強Cafe」「食堂を持たない子ども食堂"プレミアム親子食堂"」「宮崎こども商店」「子ども貧困専門支援員養成通信講座」などを紹介する。本書のほとんどは、すさまじい家族と自らの半生記だ。

そりゃあ自暴自棄にもなるだろう。度を超えたアルコール依存症のひどい父親との地獄のような暮らし。借金とりは毎日来る。極貧。逃げても逃げても抜けられない。居場所はない。10代でも夜の街で働くしかない。結婚しても、相手もまた同じ境遇、育ち。ひどい自分の父親はまとわり付き、バラバラな家族。修羅場は続く。しかし、どこに相談したらいいかわからない。知識もない。「普通」が全く違うのだ。

全国で虐待事件は続いている。2017年に起きた大阪の子どもの置き去り死亡事件――男と外泊していたひどい母親だが、「この人、男に逃げたんだ。わかる」と思う。現実逃避だという。2015年川崎の中一男子暴行致死事件――母親は「昼夜問わず働いている。息子の行動を全ては把握できなかった」といい、「親の責任放棄」と大バッシングを受ける。一人で子どもを育てる母親は「どう追い込まれていたのか」「虐待する親たちはなぜそのような思考回路に陥るのか」・・・・・・。

「普通」ではない凄絶な世界で生きている人たちの「貧困の連鎖を断ち切るため」に格闘する実証の人生、実証の姿が記される。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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