突然、脳梗塞となった矢野さん自身の「脳梗塞リハビリ奮戦記」。これほど発症時から今に至るまで、克明に症状を生々しく語った書に巡り合ったことがない。「この文章執筆中は、一度も妻に見せたことはなかったが・・・・・・」「健常者に脳梗塞患者の実像を知ってもらい、逆に脳梗塞患者の行動が健常者にどう映っているのかということが脳梗塞患者側に分かってくれば、相互の葛藤も少なくなると思い本書を書き綴った」という。よくぞここまで書き続けたと思う。凄い。
平成23年9月に発症し入院。不思議な体験、脳外科病棟、リハビリ病棟、理学療法リハビリ、作業療法リハビリ、言語療法リハビリのそれぞれ。食事、トイレ、自分の左手が誰の手かわからなかった話、歩行訓練、時間の感覚や方向音痴になった話、音感、暗算訓練・・・・・・。そして24年3月に退院。退院後のリハビリ、苦しく辛いことばかりだと思われるが、そのなかでの嬉しかったこと。人が普通に話し、歩き、手を動かし、人と接することがどんなにすごいことか。書き綴ってくれた矢野さんの強さに感動する。