「令和」制定の経緯を日テレ政治部がまとめたもの。「平成31年4月1日の発表の日のドキュメント」、さかのぼって「NHKのスクープ『生前退位』の衝撃と『恒久法か特例法か』の議論」、「官邸の動きと保守派の考え」「最終候補選定までの道のり」「考案者と国書」等々が、生々しく語られる。「極秘」で進められるものだけに、「取材される側」「取材する側」の緊張感が伝わってくる。さまざまな攻防はあるにしろ、「令和」がスタートを切った。
本書はまた「元号と政治」の章で結ばれている。「始まりとなった水戸学」「光圀以来の"敬幕"の論理が、尊皇論が純化されることによって討幕論につながった」「明治より『一世一元』となったこと」「天皇親政と元号の結び付き」「敗戦によって天皇による"時間支配"の物語はピリオドを打つ」「法的根拠の喪失と元号廃止論の浮上」「保守勢力の"草の根"運動と元号法の成立(1979年6月)」・・・・・・。「権威と権力」「象徴天皇」「皇位継承」「内閣等による皇室の政治利用」など、国と社会の諸課題は考え続けなければならないことだ。