崩壊学.jpg「人類が直面している脅威の実態」が副題。「結局、すべての文明はいずれ崩壊する。そのような事態が間近に迫っていることを示す指標をもっと示さなければならない」「崩壊の原因は、一つは社会そのものから生じる内因性の原因で、経済・政治・社会秩序の不安定化など。もう一つは、外部からの破壊的な出来事がからむ外因性の原因で、急激な気候変動・地震・津波・外国からの侵略など」「ジャレド・ダイアモンドは社会が崩壊した要因を①環境の悪化や資源の枯渇②気候変動③戦争④貿易相手を突然失う⑤環境問題に対する社会の悪い対応、をあげた。とくに5番目、社会秩序――制度の機能不全、イデオロギー上の盲信、格差のレベル、社会の無能力(とくにエリート層が先行して適切に対処できない)(社会のレジリエンス不足)」と指摘する。

フランスの生物学者アルベール・ジャカールは、スイレンの方程式(毎日2倍ずつ大きくなるスイレンの葉が、湖全体を覆うまで48日かかる。では半分を覆うまで何日かかるか―47日)で、増え方がきわめて想定外で直観を欺くことを指摘している。影響が目に見えるようになったときは、すでに遅すぎるのだ。しかも気候、エネルギー資源、人口、金融・経済、政治、社会の危機は、相互依存関係にあり、複雑に連鎖して崩壊へと進む。さらに、金融システムも供給チェーンも電力や通信網もデリケートで脆弱性を増大し、この産業文明全体が非常に脆弱だ。しかし解決は難しい。それはすべてのシステムが巨大化した複雑系社会では、従来の投資、建設してきたもの、システム自体を改革できずブロックされる社会学でいう「ロック・イン現象」が働く。加えて、人はシステム的な脅威や長期的な脅威の危険を認知する能力が備わっておらず、崩壊を信じようとしない心理的側面がある。行動を変えようとしないのだ。こうした全体的視点から崩壊とそのメカニズム、解決の難しさを示す。

著者は、「トランジションと脱成長運動」へ向けて行動せよ、と呼びかける。時制を移行させ、地域レベルでレジリエンスのある小さなシステムの構築、化石燃料を大幅に減らした低エネルギー消費の脱成長経済、ローテクの重要性だ。「現在は、"祭りが終わった"あとの二日酔い状態だ。結局、現代(性)はポストモダンの精神的な衝撃で死ぬのではなく、エネルギー不足で死ぬのだろう。生産至上主義の錠剤ではなく、二日酔いの薬は、レジリエンスであり、質素、ローテクになるだろう」という。そして崩壊学の目的を「私たちの産業文明の崩壊とそれに続く文明を、理性と直観の二つの認識法と、認知の科学的研究を土台として研究する、学際的な作業である」と唱える。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任、公明党前代表。前国土交通大臣、前水循環担当大臣。

現在、衆議院議員、党全国議員団会議議長、東京第12総支部長、首都直下地震対策本部総合本部長、現代中国研究会顧問など。

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