ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー.jpg「ブレグジットがどうとか、EUがどうとかいう、大きく華々しいニュースの見出しの遥か下のほうで、一つ、また一つと子どもたちの小さな写真の数は増え続けている」――。人種差別や貧富の差が広がるイギリスの元"底辺"中学校に通う息子の「毎日が事件の連続」の日常。その葛藤と成長の姿を、ブレイディみかこさんが息子の考え、親の考えを交えて率直に綴る。激しく、ユーモアをもって繊細に、痛快に、赤裸々に描く。

ロンドンの南にあるブライトン、そこの公立中学に通う息子さん。貧しい白人の子どもが多く、移民が多いこともあって人種差別はかなりデリケートで大きな問題。学力的には底辺校であったが、音楽や演劇、スポーツ競技などにも積極的で学力も向上してきた。イギリスの最前線を生々しく伝えてくれて、刺激的で面白い。LGBTQも、かなり改善、深化している。「多様性はややこしい。衝突が絶えないし、ない方が楽だ」というが、日本とは及びもつかない多様性の現実があり、その格闘の日常が描かれる。「楽ばっかりしてると、無知になる」という。2010年から保守党の行った緊縮財政がいかに貧しさと分断を加速させているか、昨今のEU離脱をめぐる紛糾が庶民生活の現場にどう投影されているか。「ポリティカル・コレクトネス」「エンパシーとシンパシー」など、イギリス社会は日常の隣接の所で思慮されていることを感ずる。

それにしてもブレイディみかこさんの知性ある"肝っ玉母ちゃん"と、エンパシーとは「自分で誰かの靴を履いてみること」と即答する息子さんの聡明さが快い。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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