61svAgwFpUL__SX340_BO1,204,203,200_.jpg昨年2019年は、近代建築の父・辰野金吾の没後100年。佐賀の出身、工部大学校(現在の東京大学工学部)の第一期生。政府が招き、生涯を日本に捧げたイギリスの建築家ジョサイア・コンドルに師事し、日本の近代建築の先頭を走り抜いた。まさに江戸ではない、「東京」に造り変えた「東京はじまる」だ。

日本銀行本店を造った。師・コンドルから奪い取った気迫と意地の建物だ。辰野のむき出しの意地が本書で描かれる。明治は各界でそのような若者の精神性が横溢していた時代であることがよくわかる。続いての大仕事は中央停車場、今の東京駅。辰野金吾の集大成、赤レンガに白い花崗岩、屋根に小屋を載せた辰野式建築だ。死んだ直後の関東大震災でも堅牢で倒れなかった。と同時に、各民営鉄道が東京の各地からバラバラに東西南北に走っていたものの結節点でもあり、皇居のすぐ近くでもあり、丸の内のビル街づくりの中心でもあった。両国国技館、大阪株式取引所、東京米穀取引所、日銀の全国の支店・・・・・・。しかし、国会議事堂はスペイン風邪で死に至ったこともありできなかった。「曽禰君」「たのむぞ」「議事堂、議事堂」との最後の言葉で本書は結ばれている。

コンドル、曽禰達蔵、高橋是清、川田小一郎、片山東熊、妻木頼黄・・・・・・。多くの人々と交流し、喧嘩もし、競い合った闘いの生涯であった。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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