脱プラスチックへの挑戦.jpg「脱炭素社会」と「脱プラスチック社会」をめざす。「気候変動」という言い方ではなく「気候危機、気象異常事態」と言おう。「産業革命の際に仕込んだ時限爆弾である『温室効果ガスによる温暖化がティッピングポイント(臨界点)に達してしまう』のが早いか、それとも私たち人類が叡智を結集して『ソーシャル・ティッピングポイントと呼ばれる社会の大転換を起こす』のが早いかの競争である」という。副題に「持続可能な地球と世界ビジネスの潮流」とある通り、「脱プラスチック社会」をめざして、各国が各人が各企業やNPOがいかに努力し、挑戦しているかを紹介する。

まず気候――。産業革命前と比して平均気温は1度上昇し、パリ協定では上昇を2度未満に収め、さらにまずは1.5度未満をめざすとした。「気候変動が社会・経済に深刻な影響を与える」としたが、今は違う。地球が限界となり不可逆の過程に突入するという危機である。ヨハン・ロックストローム博士らは「プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)」を主張する。大きなコストがかかり、人が住みにくくなるというのではなく、ホットハウス・アースに向かう不可逆で破滅的な変化をもたらし、自己強化型のフィードバックメカニズム(熱を海が95%吸収しているが、海の吸収が激減し、氷が融け、それが太陽光を吸収しやすい海へと逆転する)になってしまう。今はこの逆転のスイッチを押してしまう(2度の上昇)ことをさせないギリギリの地点だという。10メートル以上の海面上昇、大洪水と大干ばつで食料生産危機、疫病、最も人が住めるのは南極圏・北極圏。そして循環型の経済にしないともたない。「今後10年間の行動がカギを握る」ということであり、「運命を決める時」だ。これは2015年に定められたSDGsの基礎となる。そのなかに廃棄物問題、プラスチック問題があるというわけだ。

プラスチック――。「世界のプラスチック生産量は年間4億トン。毎年910万トンが海に流出(500ミリリットルのペットボトル5000億本分)」「このまま増え続けると、海洋のプラスチックごみは、2050年には魚や貝の合計より重くなる」「とくに20~30年間に小さく危険なマイクロプラスチックになる。それが食物連鎖で濃縮され、人間の体内まで届けられる」「世界でプラごみ回収の試みが始まっている(ボイヤン・スラットのオーシャン・クリーンアップなど)」「世界各国で使い捨てプラスチック規制が始まっている」「企業も脱プラへの競争が始まり、化石燃料からのダイベスト(投資撤退)だけでなくプラスチックのダイベストも」「日本はプラスチック廃棄物の4分の3が焼却されており、リサイクルではない」「日本環境設計はケミカルリサイクルで世界注目の技術をもっている」などが語られる。また、いわき市の小松事務所の生分解性プラスチック容器技術群も注目されている。

SDGsのウェディングケーキが示すように、自然環境(14番、15番、6番、13番)が17の土台、幹となっている。「環境も経済も大事ですね」という両立ではないフェーズに世界は突き進んでいる。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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