カケラ  湊かなえ著.jpg美容クリニックに勤める医師の橘久乃は、久し振りに訪ねてきた幼なじみから、故郷の同級生・横網八重子の娘・有羽が自殺したことを聞く。母の手作りのドーナツが大好きで、太っていても運動神経がよく、明るく人気者の少女が、高校2年から学校に行かなくなり、なぜ死に至ったのか。母親の八重子は小学校の頃、太っていて"横綱"と呼ばれ、今回の自殺では「娘を激太りさせた"虐待親"」など責めたてられているという。大量のドーナツに囲まれて死んだという意味はいったい何か。

他人の視線と自分の理想、外見の美しさと内面の価値、長所と短所、好きなものと苦手なもの。ジグソーパズルはピースに違いがあってこそのもの。自分というカケラとカケラがはまって家族ができ、町ができる。しかし、時として自分だけがはまらず浮いてしまう。無理に押し込むと周囲のバランスを失う。「居場所」を失わないということの大切さ。「ピースがぴったりとはまる場所は必ずある」と結ぶのだから、"イヤミス"ではない。

社会は「外見」が大きな部分を占め、固定観念を形成する。しかし、一人一人が求めるのは、その奥に潜む「承認欲求」であり「自己肯定感」だ。そこに生じるズレを、「美容整形」と「誰しも喜ぶ母自作のとびきりおいしいドーナツ」で、悩みながら架橋して物語は進む。人間の本性に迫る心理ミステリー長編小説。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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