41kAGO0ufXL__SX342_BO1,204,203,200_.jpg「お父さんは小さい頃、羊毛は雲みたいだと思った。・・・・・・そこに飛び込むと雲のなかにいるようで。うちの仕事は雲を紡ぐことだって思っていた」――。登校できなくなった高校生の山崎美緒。母・真紀も父・広志も悩みをかかえ、家族全体が心が通じ合わず、崩れかけていた。思い余って美緒は盛岡の祖父・紘治郎の所へ駆け込む。大正期の民藝運動の流れを汲み、ホームスパンを織っている山崎工藝社。工房に触れるなかで、美緒は自分を取り戻し、訪ねてきた父と久し振りに父娘の会話ができたのだ。

しかし、母娘の間はうまくいかない。美緒も自分自身に"信"がたち上がってこない。仕事でも追い詰められた母・真紀は「涙を売りにして。どうしてあなたはいつも女を売りにするの」と罵倒してしまう。分かりあえない母と娘、それぞれの思いが業のようにスレ違う。父・広志も会社が売却されようとし、「俺も本当に疲れた」と家庭崩壊の危機を迎える。

祖父・紘治郎もかつて同じ道に進んだ妻・香代と別れた。その妻が死に、苦悩を心にため込み、乗り越えてきた。この「おじいちゃん」の語る言葉は明らかに"境地"に達した者の言だ。壊れかけた家族が美緒を中心に、ホームスパンの糸が心の糸となって紡がれていく。

プロフィール

太田あきひろ

太田あきひろ(昭宏)
昭和20年10月6日、愛知県生まれ。京都大学大学院修士課程修了、元国会担当政治記者、京大時代は相撲部主将。

93年に衆議院議員当選以来、衆議院予算委・商工委・建設委・議院運営委の各理事、教育改革国民会議オブザーバー等を歴任。前公明党代表、前党全国議員団会議議長、元国土交通大臣、元水循環政策担当大臣。

現在、党常任顧問。

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